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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)403号 判決 1950年12月26日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人小田泰三の上告趣意は末尾添附別紙記載の通りである。

記録に徴すると控訴裁判所においては、第一回公判期日を昭和二四年一一月二六日午前一〇時と定め、同月一〇日これを検察官、弁護人、被告人に通知したことが認められる。論旨の指摘するとおり国選弁護人大畑政盛に対しては、郵便送達報告書が編綴してないが、かかる通知は、特段の規定がない限り必ずしも送達の方法によることを要せず、適宜の方法でこれを行って、これを記録上明らかにしておけば足りるものである(刑訴規則二九八条三項参照)。従って本件公判期日の通知も弁護人にした旨明らかにしてある以上右大畑弁護人に対してかかる通知がなかったものとも断じ難い。しかのみならず私選弁護人加藤高充の控訴趣旨も国選弁護人大畑政盛提出の控訴趣意書も共に量刑不当の主張であって、大畑弁護人の趣意書の内容は、悉く加藤弁護人の趣意書に包含されていると認めるべきであるから原判決は両者について実質上判断しているものと見るのを相当とする(昭和二五年(あ)第一四四号同年七月六日第一小法廷判決、昭和二五年(あ)第三八四号同年一〇月二四日第三小法廷判決)。従って憲法違反であるとの論旨は前提を欠くもので理由がない。なお本件は刑訴四一一条を適用すべき場合とも思えない。

よって刑訴四〇八条、一八一条に従って主文の如く判決する。

この判決は関与裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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